〝山羊さん郵便〝の出囃子にのって、客席をいっさい見ずに高座にあがり、
「決してあやしい者ではございません。」この言葉でこの人の落語ははじまります。
ちょっとアウトローなその芸風に反して、実はものすごくええおっちゃんなんです。
この人は子どもの気持ちを一番理解している、あるいは親の気持ちを一番理解している人です。
わたしは今、この人に"育てなおして貰っている"と勝手に思っています。
わたしは幼稚園の頃にとても怖い先生にめぐりあってしまい、毎日の様に怒られて怖い思いをしていました。
子どもにとって一番最初に深くかかわる外部の大人と言ってもいいその人でつまずいてしまったわたしは、ずっと自覚のないまま傷を引きずって大人になりました。
大勢の人の前に出ると声が出せない。
一番大事な大学受験の面接の時に、わたしは一声も発せられずに終わりました。
そんなわたしでも、にわかには理解できなかったこの人の主義とは、
「子どもは全く叱らなくっていい」でした。
わたしの様にさんざん傷ついた人間でも
「やっぱり、子どもって言う事を聞かない生き物なのだから、
叱る時は叱らないといけないのではないの?」と思っていました。
だけど、この人の言う事を聴いていく内だんだんと
「そうじゃないのかな?」と言っている事が理解できるようになっていきました。
落語を聴いてる時、わたしはもの凄くアホみたいな顔をして笑ってるそうです(笑)。
皆さんもアホみたいな顔になりに、寄席に足を運んでみてはいかがでしょうか(笑)?